神経やホルモン分泌に関係する病気

どのような病気ですか?1)

神経やホルモン分泌に関係するIgG4関連疾患として代表的な病気には、IgG4関連下垂体炎、IgG4関連肥厚性硬膜炎、IgG4関連甲状腺炎があります。

IgG4関連下垂体炎

下垂体という脳の中の小さな臓器に、IgG4をつくる形質細胞が広がり腫れる病気です。下垂体の腫れおよび下垂体ホルモン分泌の低下に伴うさまざまな症状があらわれます。

IgG4関連肥厚性硬膜炎

脳や脊髄を覆う硬い膜で、脳や脊髄を外傷や感染から守る役割を担っている硬膜に炎症が起こり、さまざまな症状があらわれます。

IgG4関連甲状腺炎

のどぼとけの下にある蝶のような形をした甲状腺という臓器に、形質細胞が広がる病気です。甲状腺の腫れおよび甲状腺ホルモンの分泌低下に伴うさまざまな症状があらわれます。

主な症状
IgG4関連下垂体炎
頭痛、嘔気・嘔吐、視力・視野障害や体のだるさ、易疲労性、食欲不振、意識消失、低血圧、月経不順・無月経、多尿、口渇、など
IgG4関連肥厚性硬膜炎
激しい頭痛、難聴、視力障害、ふらつき、手足の麻痺、けいれん、など
IgG4関連甲状腺炎
頸部の腫脹、頸部痛、呼吸苦、嚥下障害や耐寒性の低下、徐脈、など
上まぶたの腫れ
嘔気・嘔吐
上まぶたの腫れ
耐寒性の低下

診断基準2)

2020 IgG4関連下垂体炎診断基準

A.診断項目
  • 主症候
    • 下垂体腫瘤性病変による局所症候または下垂体機能低下症による症候
    • 中枢性尿崩症による症候
  • 検査・病理所見
    • 血中下垂体前葉ホルモンの1つ以上の基礎値および標的ホルモン値の低下を認める
    • 下垂体前葉ホルモン分泌刺激試験における反応性の低下を認める
    • 中枢性尿崩症に合致する検査所見を認める(注1)
    • 画像検査で下垂体のびまん性腫大または下垂体茎の肥厚を認める
    • 血清IgG4濃度の増加を認める(135mg/dL以上)(注2)
    • 下垂体生検組織においてIgG4陽性形質細胞浸潤を認める(注3)
    • 他臓器病変組織においてIgG4陽性形質細胞浸潤を認める(注4)
  • 参考所見
    • 中高年の男性に多い。
    • ステロイド治療が奏功する例が多いが、減量中の再燃や、他臓器病変(注4)が出現することがあるので注意が必要である。
B.診 断
  • 確実例:ⅠのいずれかとⅡの1、2、4、6またはⅡの3、4、6を満たすもの。
  • ほぼ確実例:ⅠのいずれかとⅡの1、2、4、7またはⅡの3、4、7を満たすもの。
  • 疑い例:ⅠのいずれかとⅡの1、2、4、5またはⅡの3、4、5を満たすもの。
  • (注1)続発性副腎機能低下症が存在する場合に仮面尿崩症を呈する場合がある。
  • (注2)135mg/dL以上。ステロイド投与により低下することがあり投与前に測定することが望ましい。血清IgE濃度が増加することがある。
  • (注3)IgG4陽性形質細胞が10/HPFを超える、またはIgG4/IgG陽性細胞比40%以上。
  • (注4)後腹膜線維症、間質性肺炎、自己免疫性膵炎、涙腺唾液腺炎などの臓器病変が多く認められる。

※2026年1月現在:IgG4関連疾患に対して本邦未承認

2021 IgG4関連甲状腺疾患診断基準

A.診断項目
  • 甲状腺腫大
  • 甲状腺エコーでの低エコー域
  • 血清IgG4値の上昇(≥135mg/dL)
  • 甲状腺病変における病理組織学的所見:
    甲状腺における顕著なリンパ球・形質細胞の浸潤と線維化(IgG4形質細胞>20/HPF、IgG4/IgG形質細胞比>30%)
  • 他臓器病変:
    他臓器における顕著なリンパ球・形質細胞の浸潤と線維化(IgG4形質細胞>10/HPF、IgG4/IgG形質細胞比>40%)
B.診 断
  • 確診:Ⅰ+Ⅱ+Ⅲ+Ⅳ
  • 準確診:(Ⅰ+Ⅱ+Ⅳ)or(Ⅰ+Ⅱ+Ⅴ)
  • 疑診:Ⅰ+Ⅱ+Ⅲ
  • IgG4関連甲状腺疾患は、IgG4甲状腺炎、リーデル甲状腺炎、IgG4関連疾患に伴う甲状腺病変を含む。これらの疾患のオーバーラップが推定されている。
  • 以下の血清IgG4が上昇する疾患やIgG4陽性形質細胞が浸潤する状態の鑑別が必要である:感染症、アレルギー疾患、悪性腫瘍、自己免疫疾患
  • IgG4関連甲状腺疾患における甲状腺エコー所見は、重度の低エコー領域や無エコー域を含む。