心臓や血管、お腹の膜にあらわれる病気

どのような病気ですか?1)

血管の周りを取り囲むように硬い塊(腫瘤)ができたり、背中側のお腹の膜(後腹膜)に板状の塊ができたりする病気です。腎臓や尿管の近くに同様の病変があらわれることもあります。動脈が膨らんだり(動脈瘤)、動脈が裂けたり(動脈解離)してしまうと生命にかかわることもあるため、他の臓器にIgG4関連疾患がある場合は、血管全体を確認することが大切です。時に尿管という腎臓から膀胱に尿を運ぶ管が圧迫され、尿がせき止められる水腎症という病態を合併します。

主な症状

胸痛、腹痛、腰痛、尿閉(尿が出ない)、微熱、足のむくみ、など

腰痛のイラスト
腰痛
微熱のイラスト
微熱

診断基準2)

2018 IgG4関連大動脈周囲炎/動脈周囲炎、後腹膜線維症の診断基準(診断の指針)

A.診断項目
  • CT による画像診断において、以下のような所見を認める。
    • 動脈壁(外膜側)の肥厚性病変(多くは全周性)*1、2、3、4、もしくは周囲軟部濃度腫瘤
    • 腎盂から尿管壁にかけての肥厚性病変*5
    • 骨盤内後腹膜の板状軟部影(主に両側性)
  • 血液学的に高IgG4血症(135mg/dL以上)を認める。
  • 病理組織学的に、以下の①~④の組織所見のうち、
    • ①②③もしくは①②④を認める。
    • ①②のみを認める。
      • 著明なリンパ球・形質細胞浸潤と線維化*6、7、8
      • IgG4陽性形質細胞の著明な浸潤
        • 生検検体:IgG4陽性形質細胞数>10個/HPFかつIgG4/IgG比>40%
        • 切除検体:陽性細胞数>30個/HPF、IgG4/IgG比>40%かつ陽性細胞のびまん性分布
      • 花筵状線維化(storiform fibrosis)
      • 閉塞性静脈炎(obliterative phlebitis)
  • 他臓器(涙腺・眼病変、唾液腺、膵臓、胆管、腎臓、もしくは肺)に包括診断基準、あるいは、各臓器の特異的診断基準の確診に合致する所見を認める。
B.診 断
  • 確診 1(a/b/c)+3aあるいは1(a/b/c)+2+4
  • 準確診 3aあるいは1(a/b/c)+3bあるいは1(a/b/c)+4
  • 疑診 3bあるいは1(a/b/c)+2
  • *1 大血管では内腔の狭小化を伴わないが、中型動脈(冠動脈など)では狭窄小化を伴うことがある。
  • *2 血管腔拡張(動脈瘤)を伴う場合と伴わない場合がある。
  • *3 動脈硬化や血管壁の解離、感染性病変(細菌性、結核、梅毒など)、血管炎、悪性リンパ腫、固形癌、Erdheim-Chester病など他の病態による血管壁の変化で説明できる場合を除外する。
  • *4 大動脈〜総腸骨動脈〜内腸骨動脈および中型動脈(冠動脈,上腸間膜動脈や脾動脈などの大動脈からの一次/二次分枝)に好発する。
  • *5 腎盂および上部尿管に好発する。
  • *6 動脈では外膜主体の炎症である。ただし、胸部大動脈では中膜炎が高度の場合がある。
  • *7 組織像は、典型例では線維化は花むしろ状で閉塞性静脈炎を伴う。閉塞性静脈炎の同定はElastica van Gieson染色標本での確認が推奨される。
  • *8 壊死、肉芽腫、好中球浸潤は通常見られない所見であり、見られる際は上記の組織所見の基準を満たしたとしても慎重な判断を要す。
IgG4関連大動脈周囲炎/動脈周囲炎、後腹膜線維症の診断のためのフローチャート
IgG4関連大動脈周囲炎/動脈周囲炎、後腹膜線維症の診断のためのフローチャート