消化器(膵臓、胆管)にあらわれる病気

どのような病気ですか?1)

消化器にあらわれるIgG4関連疾患で代表的な病気には、1型自己免疫性膵炎とIgG4関連硬化性胆管炎があります。

1型自己免疫性膵炎

何らかの免疫異常により膵臓に炎症が起こり、膵臓が腫れてしまう病気です。黄疸[おうだん(皮膚が黄色くなること)]をきっかけに診断されることが多いという特徴があります。また、高齢発症の糖尿病で見つかる場合や健康診断の際に偶然見つかる場合もあります。

IgG4関連硬化性胆管炎

何らかの免疫異常により胆管に炎症が起こり、胆管の壁が厚くなってしまう病気です。胆汁の流れが悪くなり、黄疸(おうだん)や肝機能異常があらわれます。

主な症状

腹痛、黄疸[おうだん(皮膚が黄色くなる)]、など

腹痛
腹痛

診断基準2)

2018 自己免疫性膵炎臨床診断基準

A.診断項目
  • 膵腫大:
    • びまん性腫大(diffuse)
    • 限局性腫大(segmental/focal)
  • 主膵管の不整狭細像:
    • ERP
    • MRCP
  • 血清学的所見
    高IgG4血症(≧135mg/dL)
  • 病理所見
    • 以下の①~④の所見のうち、3つ以上を認める。
    • 以下の①~④の所見のうち、2つを認める。
    • ⑤を認める。
    • 高度のリンパ球、形質細胞の浸潤と、線維化
    • 強拡1視野当たり10個を超えるIgG4陽性形質細胞浸潤
    • 花筵状線維化(storiform fibrosis)
    • 閉塞性静脈炎(obliterative phlebitis)
    • EUS-FNAで腫瘍細胞を認めない。
  • 膵外病変:硬化性胆管炎、硬化性涙腺炎・唾液腺炎、後腹膜線維症、腎病変
    • 臨床的病変
      臨床所見および画像所見において、膵外胆管の硬化性胆管炎、硬化性涙腺炎・唾液腺炎(Mikulicz病)、後腹膜線維症あるいは腎病変と診断できる。
    • 病理学的病変
      硬化性胆管炎、硬化性涙腺炎・唾液腺炎、後腹膜線維症、腎病変の特徴的な病理所見を認める。
  • ステロイド治療の効果
    専門施設においては、膵癌や胆管癌を除外後に、ステロイドによる治療効果を診断項目に含むこともできる。悪性疾患の鑑別が難しい場合は超音波内視鏡下穿刺吸引(EUS-FNA)細胞診は必須で(上記 IVc)、病理学的な悪性腫瘍の除外診断なく、ステロイド投与による安易な治療的診断は避けるべきである。したがってVIはIVcを包括している。
B.診 断
  • 確診
    • びまん型
      Ⅰa+<Ⅲ/Ⅳb/Ⅴ(a/b)>
    • 限局型
      Ⅰb+Ⅱa+<Ⅲ/Ⅳb/Ⅴ(a/b)>の2つ以上
      または
      Ⅰb+Ⅱa+<Ⅲ/Ⅳb/Ⅴ(a/b)>+Ⅵ
      または
      Ⅰb+Ⅱb+<Ⅲ/Ⅴ(a/b)>+Ⅳb+Ⅵ
    • 病理組織学的確診
      Ⅳa
  • 準確診
    限局型:Ⅰb+Ⅱa+<Ⅲ/Ⅳb/Ⅴ(a/b)>
    または
    Ⅰb+Ⅱb+<Ⅲ/Ⅴ(a/b)>+Ⅳc
    または
    Ⅰb+<Ⅲ/Ⅳb/Ⅴ(a/b)>+Ⅵ
  • 疑診
    • びまん型:Ⅰa+Ⅰ(Ⅰa/b)+Ⅵ
    • 限局型:Ⅰb+Ⅰ(Ⅰa/b)+Ⅵ

疑診*:わが国では極めてまれな2型の可能性もある。

ERP: endoscopic retrograde pancreatography(内視鏡的逆行性膵管造影)、MRCP: magnetic resonance cholangiopancreatography(磁気共鳴胆管膵管撮影)

※2026年1月現在:IgG4関連疾患に対して本邦未承認

2020 IgG4関連硬化性胆管炎診断基準

A.診断項目
  • 肝内/肝外胆管狭窄像:
    • ERC
    • MRCP
  • 胆管壁肥厚像:
    • EUS/IDUS
    • CT/MRI/US
  • 血清学的所見
    高IgG4血症(≧135mg/dL)
  • 病理所見
    • i)、ii)、v)を認める。
    • v)を認める。
    • i)、 ii)、v)の全てとiii)、iv)の少なくとも一つを認める。
    • 高度のリンパ球、形質細胞の浸潤と、線維化
    • 強拡1視野当たり10個を超えるIgG4陽性形質細胞浸潤
    • 花筵状線維化(storiform fibrosis)
    • 閉塞性静脈炎(obliterative phlebitis)
    • 腫瘍細胞を認めない。
  • 胆管外病変:
    • 1型自己免疫性膵炎
    • IgG4関連涙腺・唾液腺炎(Mikulicz病)、IgG4関連後腹膜線維症、IgG4関連腎臓病
  • ステロイド治療の効果

    専門施設においては、膵癌や胆管癌を除外後に、ステロイドによる治療効果を診断項目に含むこともできる。悪性疾患の鑑別が難しい場合胆管生検や胆汁細胞診は必須で、病理学的な悪性腫瘍の除外診断なく、ステロイド投与による安易な治療的診断は避けるべきである。したがってⅥはⅣbを包括している。
    ステロイド治療開始後2週間以内にERCまたはMRCPにて1回評価を行い、効果が得られなければ、病理診断を含めて再検査を考慮する。

B.診 断

確診、準確診をIgG4関連硬化性胆管炎とする。

  • 確診
    • Ⅴaあり
      • 胆管像分類Types 1、2Ⅰa/b+Ⅱa/b+Ⅲ/Ⅵ
      • 胆管像分類Types 3、4Ⅰa+Ⅱa+Ⅳb+Ⅲ/Ⅵ
    • Ⅴaなし
      • 胆管像分類Types 1、2、3、4Ⅰa+Ⅱa+Ⅲ+Ⅳa/Ⅵ
    • 病理組織学的確診
      Ⅳcを認める。
  • 準確診
    • Ⅴaあり
      • 胆管像分類Types 1、2Ⅰa/b+Ⅱa/b
      • 胆管像分類Types 3、4Ⅰa+Ⅱa+Ⅳb
        Ⅰa/b+Ⅱb+Ⅵ
    • Ⅴaなし
      • 胆管像分類Types 1、2、3、4Ⅰa+Ⅱa+Ⅳa
        Ⅰa+Ⅱa+Ⅲ+Ⅳb
        Ⅰb+Ⅱa+Ⅲ +Ⅵ
  • 疑診
    • Ⅴaあり
      • 胆管像分類Types 3、4Ⅰa/b+Ⅱa
        Ⅰb+Ⅱb+Ⅲ
    • Ⅴaなし
      • 胆管像分類Types 1、2、3、4Ⅰa+Ⅱa+Ⅲ/Ⅴb/Ⅵ
        Ⅰb+Ⅱb+Ⅲ+Ⅵ

+;かつ, /;または
*胆管像分類 Type1、2、3、4は解説の1cを参照のこと。

ERC:endoscopic retrograde cholangiography(内視鏡的逆行性胆管造影)、MRCP: magnetic resonance cholangiopancreatography(磁気共鳴胆管膵管撮影)、EUS: endoscopic ultrasonography(超音波内視鏡検査)、IDUS: Intraductal Ultrasonography(管腔内超音波検査)、CT: computed tomography(コンピュータ断層撮影)、MRI: magnetic resonance imaging(磁気共鳴画像法)、US: ultrasonography(超音波検査)

※2026年1月現在:IgG4関連疾患に対して本邦未承認